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る認識不足が船内の通路の事故ばかりでなく、そのような状況までも作り出しているのではと私は考えています。
それでは最近、わが社で進められている安全対策をとおして、これらについて考えてみましょう。
今までは、すべての船を同一視して安全対策を一方的に進めていた感があるため、総論的な安全対策から現場に根づいたものにするようにと考えを改めました。
原理原則を振り回すことなく、それぞれの船舶の特性にあった細かい配慮を必要とすることを重点に折り込んで、総合安全対策として会社が提示し、それらについて各船の実情にあった意見、提案を求めたところ、各船独自の発案である評価基準を盛り込んだ船内安全点検簿に発展しました。
さらに、船内安全点検簿に付随して安全チェックリストも確立しつつあります。
それと並行して教育、啓蒙の点からも取組み、作業能率の一時的な低下もやむを得ないものとして、危険予知訓練の強化と、その推進、例えば始業前、作業終了後のミーティングを行うなど、OJTを主体としました。
また、混乗船では、安全意識の低い人を排除することと、メンバー主導のミーティングの充実と安全意識の向上を図ることとしました。
さらに、これらを指導的立場にある人間の意識の強い方向付けのための乗船前教育に取り入れました。
これらのミーティングは、コミュニケーションの充実も目的としているので、ある意味で言葉の船内通行時の安全といえます。
さらに、クリーンアップキャンペーンを約半年にわたり大々的に進めてきたことで、各所の整理整頓は十分な成果を上げています。
安全標識、注意標識などもキャンペーンの一環として、従来のものは破棄し、どこに、どのように掲示すべきかをそれぞれの船に考えてもらい、それをまとめ代表例としての表示方法を示唆し、掲示に当たっての注意などを含め配布し役立てています。
当たり前のことですが今後の継続性についても明確に方針をだして、一度根づいたものが崩れることのないようにしています。
特にこれといって抗しい発想はありませんが、整理整頓、通路の確保といった基本の重視による全員の安全意識の定着と向上を、今まで以上に具体的に感じ取れたの

 

 

 

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